中学1年数学授業_文字式「トラックレーンの差」

最近、ビールはもっぱらクラフトビールな数学教師
#なんか通な感じがする
#ビール腹の加速

① 問題提示・解決(15~20分)

(問題)
1周で、インコースとアウトコースの差はどれくらいあるのだろうか。

 今回、この授業を行ったのは、単元の終わりの方(活用)でした。また、体育祭が終わってから1カ月後ほどでした。体育祭を振り返りながら、リレーのコースは、インコースがよいのか、アウトコースがよいのか、と雑談交じりに話しながら問題を提示しました。
 内容的には、単元の導入で用いても良いかもしれません。そのときは、同類項でまとめることなどはできませんが、途中式を見比べて、差を求められることはできると考えています。また、そうすることで単元を通して、計算の仕組みについて考える意味も出てくると思います。

T「インコースとアウトコース、長さを同じにするために、スタートの位置にどれだけ差を設ければ、良いのだろうか?」

 インコースとアウトコースのスタート位置において、どちらを前にするのかも当たり前にせず、確認したい。そうすることで、数学に苦手意識がある生徒でも、主体性の芽を育めると考えています。また、体育祭のコースのラインを引いた生徒やリレーを走った生徒などに、感覚的にどれくらいスタートに差があったかを聞いてもよいと思う。振り返る活動の中で、感覚的な数値と数学的に求めた数値の差についても触れられると思っている。

 コースの形を確認しつつ(直線部分と半円部分であること)、おおよその長さで、インコースとアウトコースの差について考えました。

T「コースは直線部分と半円部分になっています。求めるために、どこの長さが必要ですか?」

S1「直線部分の長さは必要です。」 S2「半円の弧の長さも必要です。」
S3「半円の弧の長さは、半径か直径が分かれば求められます。」
T「他に必要な数値はありませんか?」 S4「レーンの幅は?」
S5「それも必要だね!」

T「大体、どれくらいの長さかな?」 S6「直線は50mくらいはあると思います。」
S7「直線は50mでいいんじゃないかな。半円の半径は20~30mくらいかな。」
S8「レーンの幅は2mくらいかな?」 S9「2mは広くない?」

 この後、課題提示では文字に置き換えるため、数値にはこだわらず、教師がアンケートをとって定めました。

T「それでは、正確かどうかは分かりませんが、直線部分は50m、半円のインコースの半径は30m、幅は2mとしましょう。」
T「このとき、スタート位置の差はどれだけにすればよいのでしょうか。」

 問題提示から問題解決までは、早いほど、生徒の関心・意欲は低下しないと考えています。15分くらいかかってしまったのは、現実の世界での問題を、数学の世界にするために、何が分かればよいかを考える態度を中学1年から丁寧に養いたい。このような時間が今後、抽象化や理想化、簡単化を通して条件を設定し、数学の問題に置き換えて解決するようになっていくと考えています。

時間経過によっては、インコースを求める生徒とアウトコースを求める生徒に分けて考えさせてもよいと思います。早く求められた生徒は、両方求めることも促します。

 机間指導で、できた生徒に板書をお願いして、全体で問題解決していきます。実際には、アウトコースの方が、4πmも前に出てスタートすることを提示します。4π≒12くらいだと話すと、全体ではそんなに前に出るのかと怪訝そうな顔をする生徒もいました。

T「12mも差をつけていないと思う人もいるようですが、何が間違っていたのでしょうか?」

S10「幅がありすぎでは??」
S11「幅もそうだけど、どれも正確な数値ではないから・・・」

T「正確な数値が分からないときはどうすればいいでしょうか。」
S12「文字においてみてはどうだろうか。」 S13「幅だけ文字にする?」
S14「全部、文字にすれば、どんなコースでも対応できるよ」

 生徒が自ら課題を持てるよう(文字に置き換えた課題)に、教師は発問したい。
「今回は、○○中のコースで考えたけど、他のコースで対応するにはどのように考えればよいだろうか。」など

② 課題提示・解決(20分)

(課題)
幅をam、半円の半径をxm、直線部分をymとしたとき、インコースとアウトコースの差について考えよう。

 机間指導の中で、文字になるとできなくなる生徒に対して、具体的な数値のときの板書などにも注目させ、途中式をしっかりと書いてもらうよう促します。

 各自の解決スピードを机間指導で見極めていきます。適宜、板書もしてもらいます。そのときに、全部ではなく途中まで書いてもらい、少しずつヒントになるような工夫なども行いました。

 早く解決した生徒には、具体的な数値で求めたときの違和感は解決しているかどうかを確認するような声掛けもしました。

③ 振り返る活動(10分)

T「文字にしたとき、差は2πa(m)となりました。現実的にどれくらいなのですか?」

 数学の世界で求められた解が、現実の世界ではどのような値となるのかを考えさせる必要があります。π≒3.14、aはレーンの幅なので、約6m×(レーンの幅)で差が求められることを、生徒に理解する時間にしたいです。

S15「レーンの幅が分かれば、スタート位置の差(コースの差)は求められるんですね。」
S16「直線部分や半円部分が関係ないんですね。」
S17「幅は、0.5mなら、差は訳3mくらいですね。それくらいだったような気がする!」

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